2022年10月10日より、「愛でいっぱいまるまるタッチ」という音声番組(ポッドキャスト、Spotify、AmazonMusicで配信)を立ち上げました。
ベビーマッサージやタッチケアを通して、子育てや、人との関わりの中での疑問や悩みを一緒に考えていく番組です。
本ブログでは、音声配信でお聞きになれない方に、内容の要約という形で情報をお届けします。
インタビュー形式(Q&A形式)でお話しを進めていきます
第25回目(2023/3/27)の配信をしました!
今回は、小森こどもクリニックには普通の小児科とは違った特色のある外来があり、その中に ”便秘外来” があります。程度の差はあれ、子供も便秘は実は多く、また、アンテナを立てないと気付けないまま時間が経過してしまうケースもあります。
今回は、医学的なお話しではなく、「便秘」発見や気づきのヒントとなればと、お話しをさせていただきました。
Q:便秘外来に受診されるお子さんの年齢は?
A:年齢でいうと新生児から、お問い合わせとしては、小児科過ぎた子から18歳まで幅広くお問い合わせがあります。
Q:やはり人によって、原因や治療法が違ったりしますか?
A:そうですね。個性あふれており、いろんなタイプの便秘があります。
Q:子供の便秘どのように見つかるのでしょうか?
A:千差万別ではありますが、いくつかの発症の山があります。
一つは、乳児期の便秘は大体、生理的に3、4ヶ月で、うんちが腸にためられる(腸が発達してくる)ようになり、排便の回数が減ってくる傾向がありますが、必要以上に、ためすぎてしまう赤ちゃんがいて、中には2、3日以上でなくなり、便秘傾向になってしまう赤ちゃんがいます。
乳児期の離乳食が始まってから便が出なくなってくる場合も多いです。
トイレトレーニングでトイレに行く事が怖くなって便秘がちになっちゃったりとかもあります。
その後、集団生活が始まり、環境の変化も影響して、家ではできたのに幼稚園や保育園でのちょっとした環境の変化が本人にとっては大きな壁になっていく事もありますね。やはり集団の中には様々なストレスで負荷がかかって便秘になってしまったりするようです。
小学生以上になっても、仲間ができて、環境の変化や人間関係の変化で緊張感を保っていなければいけなかったり、学校では授業と授業の間にトイレにいきたいけれど、恥ずかしくていけないため、我慢するようになり、発症してしまう場合もあります。
そういった些細なきっかけでうんちをする事を我慢して便秘になっちゃったり、溜める癖がついてしまうというところがありますね。
Q:その時の対策としてはどうしたらいいですか?
A:便秘の対策としては、まず生活習慣です。
睡眠をしっかりとり、規則正しい生活を送りましょう。ご飯を3食きちんと食べ、ご飯前の間食を避けたり、腸が活発に動くように適度な運動をしましょう。軽い散歩でも大丈夫なので、適度に外に行って運動する事を心がけていきましょう。
Q:便秘の原因はどういった傾向の子が多いですか?
A:ほとんどはいわゆる「体質性便秘」です。
子供から大人まで、原因ははっきりしないけれど、うんちを溜めやすい体だということです。その中でも、軽い場合から、なかなか重度なお子さんまでいます。
中には、とても少ないのですが、重い病気が隠れていたりとかもあります。例えば、”鎖肛(さこう)” という肛門が生まれつきなかったり、”ヒルシュスプルング病” という極めて確率の低い病気を抱えたお子さんもいますので、注意は必要です。
Q:この体質は生活習慣で改善していくことができますかね?
A:大体の子は生活習慣で改善する事ができます。
交感神経と副交感神経がリラックスした状態で便を排出できる環境であることが大事です。
近年、コロナや緊急事態宣言が出てた時は、腹痛や便秘がちの相談があり、やっぱり体を動かしてないからなんだなと思いましたし、そもそも学校に行く機会が失われてたという事もあったので、そういう傾向が目立っていたのも感覚的にはありました。規則正しい生活、適度に食事を3食取って、適度に体を動かす事が本当に大事なんだなと思いました。
(※中には難治の便秘のお子さんのいますので、生活指導をしても治らないような便秘は、生活指導に固執されず、便秘外来で相談ください(院長コメント))
Q:他にも大事なことはありますか?
A:トイレトレーニングで、無理にトイレに行かせたりすると、もっとトイレが嫌になっちゃったり、行くよ嫌だの繰り返しの積み重ねが嫌になっちゃったりするので、押し加減、引き加減は難しいところもあるかもしれませんが、
トイレは嫌な場所じゃないよと伝える事。
楽しい場所ではないですが、できた時に褒めて、スッキリする感覚を伝えていってあげるところですね。うんちを出すことに対して良い印象を持たせる、たくさん出たね、よかったねっていうことを声掛けしてあげることで、嫌なイメージを持たせない事です。
また、もう一つ便秘になるきっかけとして、切れ痔になってしまった事で出す時に痛いから我慢して便秘になってしまう子もいます。便が硬かったりすると、出るときに負担がかかったり、柔らかくても運悪く切れちゃったりとかもあると思います。出血や痛がってたりしたら、一度医療機関に受診していただき、痛みを和らげる方法や便秘になる前の予防ができるんじゃないかなと思います。
さらに排便時間にすごい時間がかかったり、困ってる感じもあれば、病院に相談していただいて、お尻の状態を確認してもらうのも便秘対策に繋がることもあります。
簡単に食事療法や水分療法もありますが、お母さん側の注意としては過度に固執しない事(バランスよくが大事)です。無理に繊維がたくさんあるものを食べさせようと思って、お母さん自身がノイローゼになりかねないようにしてください。
水分も食べ物から簡単に取れますので、無理なく食べたいものを食べて、バランス良く食事を取らせるようにする事が大事だと思いますので気楽に考えてください。水分も無理に飲ませる事は、そもそも小さい子にこれ飲んでって言っても、嫌だってなると思うので、どうしても困ったら医療機関に相談されるのが一番です。
Q:受診する目安はどのくらいですか?
A:3、4日に1回のペース以上の場合は受診をおすすめします。
また、毎日の排便の中で出血であったり、痛がっていたり、30分かけてうんちしているとか、毎日出てるけどなぜかパンツに便がつくとかも目安だと思います。
排便の感覚は、トイレトレーニングが終わった後のお子さんでもチェックできると思いますが、便の様子や出血があったかどうかは、トイレトレーニングが終わってしまうと自分でトイレに行けるようになるので、なかなかチェックがしにくいかと思います。「うんちみせてね」「毎日でている?」とさりげなく確認してあげるとよいでしょう。
便は一番の健康のバロメーターでもあるので、今日のうんちどうだったという声かけや本人の健康状態として下痢の時もあると思うので、1日の会話の中で取り入れていってもいいと思います。
Q:便秘についてもタッチケアでできる対策はありますか?
A:まずは腸の活性化をさせたいので、お腹を手でくるくるさすって温めてあげましょう。
体を温めるツボが足にあるので、お腹から腰、腰から太もも、足首までさすっていく流れをしていく事で便秘の予防としてできます。あとは、背中にも胃腸のツボがあるので、背中の真ん中辺りをくるくるとさすって、温める事をイメージしてなでてあげてください。
こうして温めて腸を活性化させる事と、適度な運動も大事です。特に小さなお子さんは運動の手助けをしてあげましょう。両足持って左右に倒したり、自転車を漕ぐような感じで足を動かすのも簡単な運動になって腸にも刺激がいくので、ぜひやってみてください。
まとめ
今回はこどもの便秘についてお話ししていきました。
実は、我が子が「便秘」かも!という気づきのヒントと、まずはやってあげられることをお伝えして参りました!
※多くのお子さんは、一過性の便秘で、食事や運動療法で改善しますが、なかなか治らない重度の便秘のお子さんも一定数います。「排便に不安」「現状の対処や治療にモヤモヤする」と思われたら、当院の便秘外来にご相談ください!(院長より)