どうして小児科がこんなに混むの?診療が長引く背景と親子を支える現場の姿【医師監修】

みんなで助け合う医療チーム

こんにちは、ちあきまるです。私は、小森こどもクリニックで現場責任リーダーとして働いています。今回は、小児科クリニックが日々大切にしている想いや、また診療現場で感じていることを皆さんにお伝えしたいと思います。

特に、多くの親御さんが経験される「小児科の混雑」について、少しでもご理解いただけるようお話しします。

「風邪くらいでこんなに待つの?」と思ったことはありませんか? 実は、その裏には、単に風邪の診療を超えた、小児科ならではの事情があります。そして、その背景には、現代の子育て環境の変化が深く影響しています。

この記事では、小児科が抱える現場のリアルな姿をわかりやすくお伝えし、受診が少しでもスムーズに進むためのヒントを共有します。また、親御さん同士が支え合うことの大切さについても一緒に考えていきたいと思います。少しでも皆さんのお役に立てたら幸いです!

子ども診療の「特別な役割」

小児科医の仕事は、病気を診断して薬を出すだけではありません。特に幼い子どもたちは、自分の症状や不調を上手に言葉で伝えることができません。そのため、小児科の診療では、子どもの体調だけでなく、親御さんの不安や悩みも受け止める必要があります。

例えば、「咳が続くんです」といった受診の背景には、単なる病気の心配を超えた感情が含まれていることがあります。

「症状が長引いているけれど様子見で本当によいのか?」
「夜寝れないけど大丈夫?可哀想だし、親も辛い」
「保育園に行けるのだろうか」
「他の家族への影響は??」
「お兄ちゃんやお姉ちゃんが赤ちゃんのときと経過が違う」
「夜中にまた悪化したらどうしよう」
「他の子たちと同じように正常に成長しているんだろうか」
「悪い病気が隠れていたらどうしよう」

 などなど、、、

こうした不安や戸惑いを抱えながら診察室に来る親御さんも少なくありません。

小児科医は、これらの「心の声」に耳を傾けながら、病気の治療だけでなく、親御さんの気持ちを少しでも軽くするためのアドバイスや安心感を届ける役割も担っています。まさに小児科の診療は、子どもだけでなく家族全体のサポートと言えるのです。

診療の流れが「突然ストップする」理由

小児科の診療は、スムーズに進むケースばかりではありません。

例えば、ある子どもが「風邪っぽいので診てほしい」と受診した場合、一見して症状が軽く、診療がすぐに終わるかのように思えることがあります。しかし、診察を進めるうちに、親御さんが実は別の悩みを抱えていて、「その悩みの解決がどうしても必要」になる場合もあります。

また、小児科の診療は思わぬ急変が発生することもあります。突然、院内で診療中のお子さんが熱性けいれんを起こしたり、怪我をして出血を伴うお子さんが運ばれてきたりすることもあります。

当院では小児外科も標榜しているため、怪我の処置が必要になるケースも少なくありません。例えば、深い傷で縫合が必要な場合など、急を要する処置を優先せざるを得なくなることがあります。

こうした場面では、診療の流れが一気に変わり、ほかの患者さんをお待たせしてしまうことになります。診察室の外でお待ちいただいている皆さんには心苦しい限りですが、スタッフ全員で懸命に治療にあたっている状況も多々起きるため、制御が難しいのも事実です。

小児科は、いつでも予期せぬ事態に対応しなければならない場所です。そのため、スムーズに流れると思っていた診療が突然止まってしまうことも少なくありません。(リアルの生活現場ゆえ、生身の体の宿命ゆえですね、、)

核家族化がもたらした「相談相手不足」

もう一つの混雑の理由は、現代の子育て環境そのものにあります。昔は、祖父母や親せきといった家族が近くにいて、ちょっとした悩みをすぐに相談できる環境がありました。「これくらいなら病院に行かなくても大丈夫だよ」といった経験談や知恵が共有されていた時代です。

しかし今、核家族化が進み、身近に相談できる人がいない家庭も珍しくありません。その結果、「これは病院に行った方がいいのかな?」と迷うケースが増え、小児科に相談に来る親御さんが多くなっています。

また、インターネットで簡単に情報を得られる反面、情報が多すぎてかえって不安を煽られることもあります。そうした時、親御さんが頼れる場所として小児科がある—それが混雑の背景の一つになっているのです。

まとめ 子育てを支える「地域の力」を広げていこう

小児科は、単に病気を診るだけの場所ではありません。親御さんが抱える不安や悩みに寄り添い、一緒に解決策を見つけていくための場所でもあります。しかし、すべてを一度に解決するのは難しいのも事実です。

そのため、小児科チームを含め、親御さん同士のつながりや、地域のサポート体制を活用することも大切です。たとえば、夜間や緊急時に医療機関に相談できる「#8000」などの窓口を知っておくことや、地域の子育て支援センターで気軽に悩みを話すことも有効です。

子育ては、決して一人では抱えきれません。「一緒に頑張る仲間がいる」と思える環境を作ることが、安心感や喜びにつながります。そして、小児科はその大切な一部として活用してください。

お子さんの健康を守りながら、あなた自身の心の健康も守っていきましょう。みんなで支え合いながら、楽しく子育てを続けていけるよう、これからも地域全体で力を合わせていきたいですね!

この記事について

この記事は、小児科医(小森こどもクリニック院長:小森広嗣)が監修し、内容の正確性を確認した上で作成されています。小児科の現場に基づいた実際の状況やアドバイスを反映し、親御さんの役に立つ情報をお届けすることを目指しています。

この記事を書いた人

chiaki

ちあきまる(こもり ちあき)

子育てアドバイザー。3児の母、元特別支援学校教諭、現在は小児科クリニック事務長、タッチケア講師、7つの習慣実践会認定ファシリテーターとして活動中!愛と勇気、継続力を大切にしています。「タッチケア」と「愛」で子育て&夫婦関係をもっとハッピーに!子育て、夫婦関係のコツを毎日XやPodcastで発信中。毎日の育児を充実させていきましょう。

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